ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

「Dive into the Mirror」⇔「Alive A Life」(第43・44話)

◎ 仮面ライダー龍騎 - YouTube重甲ビーファイター東映特撮 YouTube Official


……ム カ イ ダ ー K 3 て。ムカイダーフェイントて。
 あと、ジャマール傭兵軍団の叛乱率は突出してるなと不意に思い返し。作劇上の都合といえばそれまでだが、毎回三軍団から怪人一体、幹部一人にジャマー+ブラックビート乱入という戦闘配備は逐次投入にも程がなかろうか。強い奴はかなり強いが人格に左右される傭兵、特殊能力が豊富ながら生物的弱点もある合成獣、比較的安定した機械の三者を上手く協力させたなら……なんて、近年の戦隊物で実現されてやしないのかなーと。

 東條の翻意あるいは乱心変心により香川が殺されたことで、優衣を犠牲に云々という対立軸は消滅したようでいて……当事者の優衣がミラーモンスターを束ねるが如き異能を発揮し龍騎を凹らせてる間に消える事態。実際のところ今週2話は彼女を探す真司・蓮は最小限で、他のライダー達が生き残り潰し合いに傾注する展開だったけども。

 それにしても佐藤満……チャン弟でいてドリューでいて、リッチー(インサイザー)でもあったのか。いやバイト出来てるだけマシか……でもライダーの力を金儲けに結び付けようとする辺りは同じか。ドラ息子という意味では芝浦もそうだったが……時期が時期なら面倒なことになってたかなとも。

「何だよ……何が起こったんだよ……?」

「何? 優衣が?」
「ああ間違いない、この目で見たんだ。何がなんだかわからないけど、優衣ちゃん、完全にモンスターを操ってた……わけわかんないよ。やっぱり優衣ちゃん……ミラーワールドと何か関係があるのかな?」

「こんな店 もぅヤメだぁーい!!」

「やってくれるよな〜お宅、まさか……香川先生をやっちまうなんてさ。流石頭のいい人は違うっていうか……何考えてるの? ま、なんでもいいけど、一応確認しときたくて。ホラ俺、香川先生と契約したじゃない? 仲間になるって。あれ……まだ生きてるのかな?」
「……もう君には用はない」
「ありゃー? 契約破棄ってやつですか。いいのかなぁ俺を味方にしといた方が心強いと思うけどな」
「僕は英雄になるから。自分だけのの力でライダーの戦いに勝ち残って……君は要らない」
「……ま、仕方ないか。どうでもいいけど……お宅、眼が死んでるよ?」

「もぉー、嫌こんな生活……ウチ帰りたいな〜。でもそうもいかないし、どーしたもんかなこれから」

「確かに俺は天才で金持ちでカッコいいけどォ? それが何か?」

「……あのさ、俺に取り入ろうとしたって無駄だからさ。だいたい俺、ライダー同士で組むの、性に合わないんだよね」
「残念だなぁ……じゃあ、他に知ってるライダーいたら、紹介してもらえません? できれば紹介状か何か書いてもらえるとうれしいですけど」
「ふぅーーん……紹介状ね……」

「しかしアレでライダーだってさ……吾郎ちゃんどうよ? 最近の若いヤツは何考えてんのかね……世も末だよ……」
「……まったくです……」

「―――探したぞ……ん……来い……食後の運動ってやつだ」
「……楽しそうかな」

「……おお、やってる」

「どうした……その程度か……? 英雄だろ……お前?」

「なんだ……逃げるのか……? もっと……俺を愉しませろォ!!」

「今日は……調子が悪かったから……」

「何だお前は?」
「あ、失礼しました。俺、こういうもので。これ……北岡先生に書いてもらった紹介状なんですけど」

「そういえば先輩……どっかで見たことあるような……もしかして、テレビに出てませんでしたか!? 芸能人とか」
“ま ぬ け”
「なんだこれは……舐めてるのか?」
「い、いえ……これは……その、ごめんなさい!!」

「へぇ〜、なかなかいいキャンパスじゃない。懐かしいなあ。俺も大学時代は楽しかったよ、夢があってさ……でも、無理な夢は見ない方がいい。だろ?」
「何が言いたいの」「さぁねえ」

「何がおかしい?」
「やっぱりあなたは、英雄にはなれないと思って。怒ってるんでしょ? この間の女の人を襲ったから……くだらないなあ……」
「令子さんのことは関係ないよ。これは俺自身の問題だからさ。ま、いずれにせよ……俺は英雄になりたいなんて、思ってないしな」

「……終わりだ」「よ、よせぇ!」
「なんだ命乞いか……英雄なんだろ? お前」

「……昨日の、続きだッ」

「二人仲良く、あの世に行きなよ」

「所詮ヤツは小物だ……」「そういうことだな」
「……やるか?」「お前、怪我してるみたいだな」
「……気にするな」「……じゃ、ま。やりますか」

「あらあら、随分やられちゃったみたいだけど……大丈夫?」

「……あ、眼ぇ覚めた? 安心していいよ。怪我治るまで俺が面倒みてやるからさ……もちろん、見返りは期待してるけどね? 結局、あんたには俺が必要なんだよ。あんた一人じゃなんにも出来ないみたいだからさ」

「もしもし? ―――あっそう」
「……どうかしたの?」
「親父が死んだってさ」

『……ここはお前のいるべき場所ではない……』

 あと前回、タイガのフリーズベント→ファイナルベントの流れは一対一なら、とか書いたが即座に例外。アドベントもファイナルベントも複数枚持ってる王蛇の脅威度が久々に出た感じ。おまけに同回にてゾルダが普通に殴り飛ばしてリベンジ。この間は東條のペースで北岡が怒りに駆られて、今回は北岡が腹を据えて迷走東條を、という差だろうか。不意打ちが主で攻撃力は高いが、実は戦闘技術は練られてなかったというオチ? 実際経験値は先輩より少なかっただろうけど……。
 一方で負け続いた東條を、相手ライダーと接触しつつ観戦もしてた佐野が保護。全然噛み合わなそうな若輩ライダー二人の、奇妙な連帯の始まりであった……と思ったら御覧の有り様だった。なんなんだあれ。ヤンデレか、デレヤンか。

『今ならまだ間に合う。帰るんだ、現実の世界に』
「……私は、此処に居る」『優衣』

「優衣ちゃんしっかりして! 優衣ちゃん!」
「ここ、どこ? 何してたんだっけ……あたし」

「ほんとうに、なんでもいうこと、聞くんだねぇ?」

「……親父の、遺言?」

「……でも、無理っすよいきなり社長だなんて」
「勿論最初は我々が全力でサポートします。あなたにはできるだけ早く、経営者の知識を身に着けてほしい」
「大丈夫。できますよあなたなら。貴方の体には、先代の血が流れているんだから」
「俺が……社長……」

「……編集長。当てが外れましたね……この写真を載せれば、読者からも情報が寄せられてくると思ったんですが」
「はぁまったくな……かかってくる電話といえば、罵詈雑言か購読契約の破棄……何やってんだ? 島田、めぐみ―――お前らまさか怪物捕まえようってんじゃねえだろな。ガラスの前で待ち伏せして」

ハッハッハッフッフッフヒッヒッヒ・・・・・・
「……まあ、上手くやってよ。任せるから」

「……なぁ、ひとつ聞いていいか?」「なにかな」
「お宅、英雄になりたいみたいなこと言ってたけど、どういうこと? 英雄になって、どうするわけ?」
「―――そうすれば、みんなが好きになってくれるかもしれない」
「ふぅん……結構お宅も苦労したんだ。でも、ライダーの戦いが終わる前に、願いが叶ってしまったら……」
「なにが言いたいの」
「いや……でも、もしそうなったら意味ないよな。ライダーでいたってしょうがないし……」

「君、手が空いた時に、車のウインドウ磨いといてくれるか?」

『お前は仮面ライダーだ。ライダーである以上、戦い続けなければならない』
「ああ。そのことなんだけどさ……これ、返すわ。俺、いい暮らしがしたくってライダーになったけどさ……もう、そんな必要なくなっちゃって。辞めたいんだ、ライダーを」
『一度ライダーになった者は、最後までライダーであり続ける。それが掟だ』
「なんだよ……そんなの俺の自由だろ!? もう要らないんだよこんなもの!」
『戦わないのはお前の自由だ。だが、それが何を意味するか、お前もわかってる筈だな』

『戦え……そして生き残れ……そうすればお前はライダーを辞めることができる』

「これ派手すぎないかなぁ!?」「なんでも言う事きくっていったでしょぉ!?」

「なんだって? 俺たちを雇いたい?」「何を考えてるんだ、お前」
「……別に? もちろんタダとは言わない。とりあえず契約金として……どう? 悪い話じゃないと思うけど。ライダーとして勝ち残っていくためには、仲間がいた方がいいわけだし」
「ふざけんな! 金で仲間が買えると思ったら大間違いなんだよ! なあ蓮? だいたいなあ、俺たちお前の事なんて全然信用してないんだからなぁ蓮? ……蓮?」
「ま、そういうことならしょうがないか。馬鹿だね、あんたら」

「……では、この私を雇いたい。そう、おっしゃるわけですね」
「そう、ライダーとして俺に力を貸してほしい」
「はい、喜んで! あのお金は、前金として受け取っておきますが……色々細かい問題もありますし、こちらで契約書を作りますので……んん! 正式な雇用は、それからということで、いかがでしょう」
「ああ、それでいいよ」

「いいんですか先生。あんなヤツと組んで」
「心配ないって吾郎ちゃん。言ったでしょう、まず契約書を作るって。時間がかかるんだよねぇそういうのって。一年先か二年先か……」「先生」
「なによ?」「素敵です……」

「どうも胡散臭いんだよなぁ……あの弁護士。やっぱり俺には、アイツしかいないのかな。ちょっと頼りないけど」

「弁当買ってきたからさ。一杯食べて、早く元気になってくれよ」
「……ありがとう……」

「なあ……ちょっと聞きたいんだけど……お宅俺のことどう思ってるわけ?」
「……感謝してる……香川先生以外で、こんなに優しくしてくれたの、君が初めてだし」

「友達だよな……俺たち……」

「ごめんなさい急に父が変なこと言い出して」
「いえ、むしろ嬉しかったです。あの、百合絵さん。できればこれからも時々会ってもらえませんか?」

(俺は勝つ……必ず俺の人生を守ってみせる……)

「わかってるよ……腹が減ってるんだろ……? 今すぐ満腹にしてやるから……」

「お前、いい加減にしろよ! 何考えてんだ!」
「東條、頼む! こいつを、東條!」

「……悪いな、負けるわけにいかないんだよ!」

「……お前……!?」
「ごめん。君は“大事な人”だから、君を倒せば、僕はもっと強くなれるかもしれない」
「そんな……!?」

「ハッはぁ……」

「百合絵さん! 百合絵さん! 出してくれ! 出してくれぇッ!」

「出してくれ……出してくれよぉ! 俺は帰らなくちゃいけないんだ俺の世界に! いやだぁ……いやだ……出してくれぇ、出してぇー……っ!」

「なんでこうなるんだよ……俺は……俺は……幸せになりたかっただけなのに……」

 同情的に見ることも出来れば自業自得とも言える、弱ったところを世話して味方につけようと思ったら物凄い地雷男だった、という因果はさておき……ライダーになった理由、願いが戦いに勝ち残るまでもなく叶ってしまっても、しかし戦いからは抜け出せないという命題。ひとえに、佐藤の願いのハードルが(あくまで他に比べて?)低い為に起こったとも言えるが……たとえば蓮の恋人が快復したなら、北岡の死病が治ったなら、とかいう「もし」が最後の一人に与えられる力を待たず実現したのなら。

 動画コメント欄に書き込まれていたリタイア方法として契約モンスター(隷下同系モンスター達も含む)を誰かに倒してもらった上で現世でデッキを破壊する、というのがあった。劇中では終ぞ実現しなかったろうけど。またリタイアできるとしてもミラーモンスターの脅威を知りながら「力」たるデッキを捨てられるかと。意趣返しに神崎士郎がモンスターを、ことによるとオーディンすら嗾けるかもしれず。
 はたして視聴者視点から得られる情報で、佐藤の生存見込みとは、つまるところ「優衣を殺してミラーワールドを閉じる」だった。実現可能かどうかはさておき。香川と契約した際に目的と手段を聞いていれば、あるいは保護した東條から……彼はミラーワールドを閉じたくなくて香川を殺したのだったか。しかし王蛇ゾルダに連敗したあと、部屋の鏡面を破壊するほど恐怖に駆られていたのだから、そちらの方向へ誘導できていれば……まあ所詮結果論か。佐藤からしたら、東條も最後には切り捨てる積もりだったろうし。

 リアルを充実させる動機でライダーの力を手にしてしまった男が、(父の死により)期せずリアルの充実を得て、それを守り抜こうとして最後の変身を行い……リアルの充実が為に英雄となろうとする男に裏切られ、戦いにこそ最も充足する男に葬られた。戦いをやめたライダーは死ぬしかない。いつかの神崎士郎の言葉どおりに。
 摂理というよりは、そういうルールを敷いて強いるGMが支配している世界。何の為にか、妹を、消させないために……というわけで次週、ようやく核心に触れそうな気配か。
 優衣を殺すの殺させないの、という問題が掻き消されてサバイバル闘争に軸が戻り、しかし空気はかえって重くなったように思う。むしろ軽い空気で掛け合い馴れ合いができていた事が奇跡とも言えたか。北岡と浅倉なんて、本気で殺しあう関係になってこそ仲良くなってるんじゃないかと感じなくもないけど……終わりが、近づいている。