ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《ラクドスの血魔女、イクサヴァ/Exava, Rakdos Blood Witch》/岡本倫『パラレルパラダイス』第73話





パラレルパラダイス(1) 特装版: プレミアムKC (10Pの描き下ろし漫画、設定資料などを収録した36ページの小冊子が付属)←電子版も

別れの海。: 続・黒のノエル

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―――前回に続き、なんとも懐かしみを覚える(訓練されすぎている?)やりようである。さしあたって疑問に解が出た側から別の疑問が湧くのはいつものこと。


  • 「闇」属性とは何ぞや、「黒」とは違うのか。黒の書き間違いであればルーミの白剣が効くはず。効くからバリアで防いだとも取れるが、なら陽太のバックアタックは防ぐ必要がない(かもしれない)。いやサンドリオ製の数打ち属性武器(はたまたアマネの予備武器)だった可能性はあるが。決死の構えのヒヅチ大鎚は順当に行けば「赤」なのかもだが、それも多分通じない……相手がカル→ケートスのような「怪物化」をまだ行ってない(あるいは行えない・行う必要がない)なら属性防御や無限再生しないかも、とするのは楽観的すぎるか。
  • 結局の所「マヤ」という女性は只人にしろ何者であったのか。①アルル(ガリア)に従属している教団員②「アルル」を連れている教団員③単に雰囲気が怪しいだけのレジスタンス④その他。それ次第で彼女の「本当に救えないバカな人たち」という言はどういう意味合いを持っていたか変わってきそうに思う。あるいはあの言葉は彼女にとって“最後のつもりでなかった”可能性。そこまでいくとあんまりかわいそうすぎるのでは?
  • 陽太に「計画」のことを説明したのは誰か。陽太のビル落下直後、場面転換してカヅチとバニーユが監視映像で「銀髪の魔女」を観測して出迎えに行くまで。その間彼の側に誰が居たかと言えば、ことの直前で合流したアマネ以外にない。え、今まで一言も喋ってない寡黙天然剣士がちゃんと説明できたの?(大変に失礼) あるいは場面場面の間に想像されるより時間があって代表者カヅチ……よりはバニーユの方が話しやすいかな。それにしたって、先程まで「人々を呪う〈嫉妬深い神〉を守っている」と主張する相手の言を容易に飲み込めるとも考えにくいが。


 あと付け加えるに、誰が嘘をついていたか。マヤがヴァルカンを欺いていたとすると、地縛神自身は嘘をついておらず〈嫉妬深い神〉が目覚めることで現生人類が滅びるというのは(まだ)偽証ではないことになる。ただ偽証ではないからと言って本当でないとは限らず、「サンドリオの教団」(今となってはこれもいるか怪しいorガーディアン達と同一視しにくい。いやさリルドールの言を信じればそれ自体は居るのかもしれない?)が崩月を免れるために邪神を目覚めさせようとしているとか、遺跡の地下に眠る財宝のこととか……後者に関しては過去地球と呼ばれた時代の遺跡遺物全体を指しているかもしれないが。またお母様の言によれば「今も信者が集まる隠された神殿」、これに当たる場所の候補……まっすぐいけば地球遺跡が最有力だけどもサンドリオ旧市街ないしレジスタンスの根城も可能性ゼロではないように思えてくる。脱線脱線。

 はたして寿命の短い彼女達が何世代にもかけた計画を騙され失敗させられたサンドリオ・ガーディアン代表カヅチ。リールでカイ(&リル)に騙されてたピナコも大概な辛酸屈辱を味合わされていたけども、アルル=ガリ*1に踊らされていたと知った表情たるや辛み。エルザ死後からの短い付き合いを思うにちょっとは文句も言いたいとこだが、死体蹴りは躊躇われるほどに(まだ生きてる。まだ)。

……人間でも、そうでなくなっても、陽太が交尾を求められる存在であることに変わりはない。しかしそれが陽太自身にとって、彼の知り合った女性達にとって良く幸いな結果をもたらすとは限らない。リールでちらと仄めかされ、サンドリオ行きからより顕著になったこと。前回ルーミとバニーユが一触即発になったこともそうだし、崩月で死ぬ呪いを解く存在、世界を滅ぼす邪神を倒そうとする男が、また争いの源になりうるということ。目の前の脅威をどう凌ぐか誰が生き残れるかを無理くり視界から外しても、世界が難儀であることに変わりがない。どうしてこうなった。どうしてこうなった、かつて地球と呼ばれた何処か。

*1:「百年間ほぼ絶食」と言いつつ見た目若さ幼さを保っている。カイの死に際老化とノアの言葉を鑑みるに、魔女としての力≒人のキモから奪った生命力≒エレメントを使わなければ現状が維持できるということなんだろうか。てっきり容姿や生命を維持する時点で人喰い必須だと思っていた。なんにせよ、これから犠牲者を喰い散らかされたらますます手がつけられなくなりそうではある。