ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《懲戒の儀式/Rebuking Ceremony》/岡本倫『パラレルパラダイス』第78話






別れの海。: 続・黒のノエル

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―――そういう方向で行くのかお前、という思いを同時多発的に。またようやっと、謎に次ぐ謎ばかりの本作の暗みに少し光……とはいえ、「カヅチ達が知り得る範囲内の情報」に限られる上、「その情報群もまたガリア等による流言偽報の可能性」があるのだが(もっと言えば新情報自体が更なる疑問の種にもなりうる)。まあ何にせよ彼女たちがどういう知識を前提に動いてきて、何をしようとしていたかの理解には役立つだろう。
 個人的に気になるのはやはり、男である以外に身元を証すものがないファーストコンタクト段階で「太多陽太」というフルネームを知っていたこと。これは「古代語」を解読しただけでは説明がつかない。どこかしら誰かしらから伝わったり記録されていないとならない。つまり陽太がテルテル坊主(リリア)に投げ込まれる以前から陽太を知っている存在(実は仁科が何千年前に飛ばされているとか?)、もしくは陽太にとっての地球現代がそのまま異世界に繋がっているか。ただ後者の場合、何十億と居る人類男性で彼の名前が残るような理由も必要か。

 しっかし、マヤといいメアリといい、出るだけ出てきて両方ガリアの犠牲になるとは不遇不憫な(この界隈で得物ムチでどう戦うのかという疑問に答えが出ないままなのも残念)。ほかレジスタンス拠点の人々が(ガリア得意の「糸」で)丸々捕まっているとなると、リノとマカナのリール船乗り組もそうである見込みが高い。サンドリオの再来襲までは一ヶ月間の猶予がある、というのは何故か約束は守る性質からして確かでも、それを準備対策に全振りしたら陽太達の知らぬ間にレジスタンスたちは彼女の「ご飯」にされてしまう……うええええ。逆に誰かしらが逃げ出せてそのことが伝わっても、今度は準備不足の状態でガリアと戦うかレジスタンスを見捨てるかの二択になる重み。どっちがいい? どっちもよくねぇ!

 畢竟するに、現状持ち得る知り得る手札で、状況を好転させるに足る材料がない。実は割といつものことだ。楽園とは、異世界チートエロとは一体。いや異世界チートエロに偽りはないのだが。そんなこんなで一週休めたのにもう明日直前。