ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《戦線維持/Hold the Line》/『極黒のブリュンヒルデ』第55話

(前回感想はこちら)
(第1〜3話の無料閲覧はこちら)


真 夏 の 恋 愛 戦 線 胎 動

………………平和だ(心底)


………………平和か?(怪訝)


「このせかいに」

「ふぅ・・・本当に良かったです・・・大変なことが色々ありましたけど・・・
前と同じように こうしてみんなでお風呂に入れて・・・」

「私は 前と同じちゃうで」

「寧子 あんた村上のこと好きなんか?」
「……えっ?」ドキッ
「今回のことで・・・ようわかったんや 私は 村上のことが好きや
あんたがハッキリせぇへんのやったら これからは遠慮せんとガンガン行くで」

「聞きましたか!? すごいです!! 恋の宣戦布告です!! 憧れます!! 絵日記に書かなきゃ!!」
「……」



「しゃーないやん 本気で死ぬことを覚悟して・・・色んな事をあきらめてあきらめて
それでもあきらめ切れんかったんがたったひとつ・・・
村上の子供が欲しいなって・・・私がこの世におった証を残したいて・・・わかってもうたんや・・・
それさえ叶えられれば・・・私は別に死んでもええんやなって・・・」


―――息を吸って吐くように死亡フラグを立てつつファンを魅了する魔性の女。カズミ・シュリーレンツァウアー、蕩れ。寧子とは別の意味で「放っておけない」枠。以下略。


「DT捨テル」?→Interrupt!

「なぁ村上」「なんだ?」
「クラスで2番になったら ホンマに何でも言うこと1つ聞いてくれんのやな?」
「……何でもなんて言ってない 当然出来ることと出来ないことがある」
「別に無茶は言わへんわ あんたが今持ってて どうせ捨てるもんをひとつ欲しいんや」
良太「だったらいいけど・・・なんだよ欲しい物って」スッ
“ 童 貞 ”
グシャッ
「なぞなぞか!? ふざけんな!!」

「なんでや!! どうせ捨てんのやろが!! もったいつけんな!!」「ったく・・・」
(でも ここで無下にしてもやる気なくすしな・・・だいたい試験は明日からなんだ
2番になるわけがないか・・・)
「わかった いいだろう」
「よっしゃーー!!」
「あんた 試験は明日からやから もう無理やとか思ったんちゃうか?」
「えっ?」
「言っとくけど 今までも授業はちゃんと聞いてたし 元々私の偏差値 75くらいあるで」「!?」
「さらにここから 私の邪な一夜漬けパワーを見せたるわ」「……」

……*1

…………*2

……………………かくして成績発表。

「ね・・・寧子が1位・・・!?」
「ちょっ・・・ちょっと待て!! おれが2位だと!?」
「そんな……あんながんばったのに 私3位やなんて・・・」
オイ・・・ムラカミガ トップカラオチタゾ・・・ヒソヒソ
「……」

「寧子・・・あんたの魂胆わかったで・・・私を妨害するために勉強したんやろ・・・
あんたさえおらんかったら・・・私が 村上の童貞をいただいてたのに・・・」

「どうてい?」

「許せんわこの女!! カマトトぶって!!」バタバタ
「ちょっとやめてカズミちゃん!!」
(おれが2位・・・おれが2位・・・)

(黒羽・・・ひょっとしてこいつ・・・すぐに記憶をなくすんじゃなければ すごく頭がいいんじゃないか?
そういえば クロネコもテストの成績は良かったような・・・)

「寧子さんは村上さんに何をお願いするんですか?」「えっ?」
「……それじゃ 私もどうていをひとつ・・・」

「お前 自分が何言ってるかわかってないだろ なければないでいいよ」

「まぁ 点数で負けたんは事実やからしゃーないわ
けど村上 試験終わったらもう一つ約束あんの 覚えてるやろな」

「……ああ・・・覚えてるよ」


「はぁ!? 海水浴!? どういうこと!?」

「試験が終わったら 海へ行く約束になってたんだ だから天文部の部員と明日行ってくるよ」
「天文部の部員って・・・両対外 全員女の子って言ってなかったっけ?」
「そうだよ」「……」グヌヌヌ

「あり得ない そんなの・・・絶対 許せない・・・」「ん?」


「Second Flight」

「海です 広いです 大きいです!! 今日は 遊びますよ〜」

「本来 小鳥は平均点以下だったんだから来れなかったんだぞ 土下座して頼み込むから・・・」
「だって 私だけお留守番なんて 悲しすぎます!!」

「しかし海水浴て・・・日本海かいな しけとんな・・・海が鼠色やで・・・」
「失礼なことをを言うな!! ここが一番近いんだ」
ポロポロポロ「黒羽・・・また海見て泣いてるのか・・・2回目だし そろそろ慣れた方がいいぞ・・・」
「うん・・・」
「ホラ見ろ 寧子も日本海見て悲しゅうなってもたやんんか・・・」
「関係ない!! お前は日本海に恨みでもあんのか!!」

「あら 奇遇ね 良太」「えっ?」
「き・・・結花!? なんでここに・・・」

「偶然よ」「は!?」

「私は前から海水浴へ行く計画をしてたのに たまたま あなたたちとかぶっただけよ
変な言いがかりはやめてくれる?」
「……」
「誰や こいつ?」

「だいたい なんで学校の水着で海に来てるんだ?」
「しっ・・・仕方ないでしょ!? 昨日 急に海へ行くって言われたって・・・!!」
「お前 前から計画立ててたんじゃないのかよ」
「う・・・うるさーーい!!」


―――良太ってさ……「女子と話してると凄い不機嫌になる」までは分かってるのに……その理由までは気づいてないのか、本気で? 考えないようにしてるのかトラウマが尾を引いてるのか。てなもんで、第39話(単行本第5巻収録・推定第4章頭)以来の御登場、八田さん家の結花嬢。思えばテストでご褒美云々はこの時に言い出されたのだった(海行きの約束は第44話)。思い返さば、刻々とフラグが積み重なっていく中で、全員で果たせない約束になるかもと恐々だったなあと。
 また単行本にまとめられる際の都合上、平素サブタイは余り気にしないのだが……『みんな一緒に』遠出というのは何気に初だった。秋葉原デートはカズミと二人、中軽井沢→県境は寧子と小鳥と……そう言えば第4巻の加筆分で三人写真を撮ったのが奈波の記憶操作対策に使われたので、連載時の「天文台の皆で撮った写真」て無かった事になるのかならぬのか。単行本第7巻ではともかく……「最初で最後の全員記念写真」とか不穏だよな。結花が加わったりすると尚更に。

……なにやらね……素直に海で女子ばかりで水着で、ムヒョッス最高だぜという気分になりきれない。それが考え過ぎに思えない。なんとなれば岡本倫ドSゆえに、極黒ゆえに。それこそいつものこと、といえばそれまでだが。次いで今度の海水浴*3で期待(あるいは不安視)されるイベントを想像するに、

  • THE 恋の鞘当て(カズミ>結花>寧子の順に積極的と予断)
  • ※ただし魔法暴走に関してはその限りではない
  • 結花と魔女達の交流。特に佳奈とのJC組
  • 寧子のホクロに今度こそ良太が気づくか否か*4
  • 魔女達がナンパされるor良太がナンパされる()
  • 脳内彼女さんがおもむろに出現
  • 佳奈が海辺の人命危機*5を予知
  • ↑それに伴い、不特定多数ないし結花への魔法(もしくはハーネスト*6)の露見
  • ↑目撃者の死亡フラグ屹立、また情報がヴィンガルフに伝わった場合の襲撃可能性


―――ああもう、そういう性分だからと思い切れればいいのだが、考えれば考えるだけ後ろ向き不安な想像ばかりというのは、どうにかならんものか。今回、全編日常学校生活圏で研究所サイドの話は皆無であるにも関わらず。海に着いたばかりだというのに。平均割って留守番になりかけた*7保存食さんも「クヨクヨしたら損」だって言ってたのに。

……そうだ、彼らの夏は始まったばかりだ。まだ慌てる時間じゃない……来週になれば……うごごご(豚)

*1:夜を徹して勉強する寧子カズミ、教科書を枕に涎垂らして寝落ちする小鳥。

*2:期末試験、澱みなく答案を書き込む寧子カズミ。一方小鳥は鉛筆を転がしていた……ある意味待望の学園生活描写が漸くひとコマ……どうしてこうなった。豚さんだからさ。

*3:日帰りか泊まりか、それが問題だ。

*4:ただし露天風呂で確認し忘れたり、秋葉原デート前に暑さゆえ水着の際も位置的にそれが露見することは無かった。同じ水着だったら「ハプニング」でもないと……もし別のだったら買い物イベントを何故スキップしたし。

*5:通常の人力や良太が頭を使うだけでは不足で、【転位】ないし【破撃】を必要とする度合の。

*6:第2話だとか、そもそもカズミのショートヘアだとかあるが、海で水着となるとうなじの見え易さは増大する危惧も。

*7:当然の如くケーキバイキングはナシである。ただ前回贔屓の詫びでケーキを頂いたと思われるので彼女個人ではマイナスでもない。脳内彼女さんの予測出現キーは不発に終わったが。