ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《コイロスの守護者/Guardians of Koilos》/岡本倫『パラレルパラダイス』第70話

パラレルパラダイス(1) 特装版: プレミアムKC (10Pの描き下ろし漫画、設定資料などを収録した36ページの小冊子が付属)←電子版も

別れの海。: 続・黒のノエル

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―――そうきたか。という一方でTHE SUNこと陽太、案外と考える暇なく流されるばかりじゃないんだな、と(失礼


 思いつく範囲で、大まかに分けて三つ。①現代直接の未来②並行世界の未来③並行しているが未来ではない。かつてジーニアスは【地球から来たのではないかね?】と問うた。また次話において「昔はそう呼んでいた」という住人の証言。その情報はどこから来たかというところでもあるけど。
 これまでを省みるに、本作「異世界」は「現実」地球とあまりにも隔絶した法則・環境・生物が多い。それでいてシーザー語やら武器や怪物の名前やらはぐれエルフの店に日本語があったりやら、ゲーム的なのか地球産の影響かを匂わす要素が多数。特に怪物の弱点がネットで調べられる範疇と一致するなんて作為的にも程がある……かつて地球だった惑星をまるまる作り変えられた、ゲーム的電脳空間に住人まるごと移築移行させられた、とかまでありうる。前作極黒で「人類が被捕食作物として先史宇宙人に創造された」設定以上に大規模、大仰な向き。


 要素的には現状この辺のイメージ予期。二次では「やる夫の傷モノサバイバー」とかも。陽太が「死」をトリガーに行き来してるようで地球側の肉体は別にあることや彼を投げ込んでるテルテル坊主=リリアも含め、どちらが本物でどちらが虚構なんだかむしろ両方虚構までありうるから困る。キリがないのでここらで休題。


 はたしてガーディアン残り二人のうちアマネかカヅチか……扉絵的に「火鎚」だろうと思ったし次話で確定したのだけど、抵抗・反抗をしないさせないと想定できないとしたら人の扱いが判ってないし、力づくで従えさせられると思ってるとしたら物理的にまあ事実ではあるけど脱走されたら死ぬと判ってて煽るような台詞を吐くのは看守としては今ひとつ評価。マヤのルーミに対しての誘導も結構巧妙だけども、「自発的に協力させるよう仕向ける」ことができないなら「最初から一切コミュを取らない」方が大分マシじゃなかろか。故エルザが言ってたようなグロ発想は勘弁だが。
 ミースでクインテットのハルが光に解けたあの日、ルーミ含めた他のメンバーは「異世界人」である陽太との死生観の違いを滲ませつつ、悲しみ痛みがないわけではない証はのぞけた。一方サンドリオは、ごく短い空白にそれを見て取れるかどうか。監禁している男の前で「弱い」ところは見せられないという比較的好意的解釈ができなくはない。むしろそうでないと同情の仕様がない。傲慢でしょうか。あと第1話で「全部あんたのせいなんだから」とルーミが言いながら剣を向けてきたことを思い返しつつ、過去なにごとかしでかした「男性」に対する嘲笑ないし失望感が、より過去に対する知識を有するだろうサンドリオの守護者として滲んだ可能性。エルザについても別の意味でそうだったんだけど、なんやかやウコチャヌプコロすれば状況は好転可能だろうという楽観がだんだん通用しなくなってきたなと。

 また他方、今回最初のセリフだけを見て取ると、「ガーディアン」とは“集落住民の守り手”ではなく“其処に地縛された神を守るもの”が原義ではないのかという疑問がふとよぎる。土地土地の地縛神が住民を守るのなら結果的に同じことだが、リルドール母様のように長らく存在を隠蔽されてたりヴァルカン君のように街ごと放棄されたりする例もあるからな……そして根本的に地縛神が何をもって住民を守っているかという問い。そりゃまあ、ことミースにおいてはジーニアスの膝下で各地に送るガーディアン鍛えたりルーミに特別な剣を与えたりしているが……思えばルーミ(パラディン)ってかなり特別な存在だな……なのに空席にされた事にしてハル含め二人分の補充申請なんてして大丈夫なんだろうか。いやその後輩もミースで鍛えてるかもしれないのだが、あとはモモみたく城で巫女とか。脱線。
 いちばん恐ろしいのは、言葉通りにとらえて、〈嫉妬深い神〉と呼ばれる存在のみを守る戦士がガーディアン「だった」場合か。誰が正しくて間違っているのかor嘘をついているのか、敵なのか味方なのか。知るほど考えるほどに不確定になって、嗚呼ややこしや。